男と女――第三部(5)
「女への辯」
女のいふことばは、
いかなあることもゆるすべし。
女のしでかしたあやまちに
さまで心をさゆるなかれ。
女のうそ、女の気まぐれ、放埓は
女の着物の花どりのやうに
それはみな、女のあやなれば、
ほめはやしつつながむべきもの。
盗むとも、欺くとも、咎めるな。
ひと目をぬすんで、女たちが
他の男としのびあふとも、妬んだり
面子をふり廻したりすることなかれ。
いつ、いかなる場合にも寛容なれ。
心ゆたかなれ、女こそは花。
だが、愛のすべしらぬ偽りの女、
その女だけは蔑め。それは女であつて女でないものだ。
この女性にたいする哀切な思いが籠められた唄は、直接はパリへ去った森三千代を念頭にうたわれているが、その背後には、女性全般とりわけ東南アジアの各地で出会った女たちがいるのは間違いない。(続)