フランスのこと、本のこと、etc. 思い付くままに。


by monsieurk
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男と女――第六部(25)

 おっとせい

そのいきの臭えこと。
くちからむんと蒸れる、

そのせなかがぬれて、はな穴のふちのやうにぬらぬらしてること。
虚無(ニヒル)をおぼえるほどいやらいい、
おゝ、憂愁よ。
・・・・・・

いん気な弾力。
かなしいゴム。

そのこゝろのおもひあがってること。
凡庸なこと。

菊面(あばた)。
おほきな陰嚢(ふぐり)。
・・・・・・

そいつら。俗衆といふやつら。
・・・・・・

おゝ。やつらは、どいつも、こいつも、まよなかの街よりくらい、やつらをのせたこの氷
 塊が、たちまち、さけびもなくわれ、深潭のうへをしづかに辷りはじめるのを、すこし
 も気づかずにゐた。
みだりがなしい尾をひらいてよちよちと、
やつらは氷上を匍ひまはり、
・・・・・文学などを語りあった。

うらがなしい暮色よ。
凍傷(しもやけ)にたゞれた落日の掛軸よ!

だんだら縞のながい影を曳き、みわたすかぎり頭をそろへて、拝礼してゐる奴らの群集の
 なかで、
侮蔑しきったそぶりで、
たゞひとり、
反対をむいてすましているやつ。
おいら。
おっとせいのきらひなおっとせい。
だが、やっぱりおっとせいで
たゞ
「むこうむきになってる
おっとせい。」
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by monsieurk | 2016-11-20 22:30 | 芸術 | Trackback | Comments(0)