関係性
関係性
「AとBの関係性」、「ある事柄ともう一つの事柄の関係性」といった具合に、特にテレビのアナウンサーやコメンテイターと称される人たちが、よく口にするように思う。しかし、これは文脈からいえば、「関係性」ではなく「関係」とすべき場合がほとんどで、なぜ「性」を付け加えなければならないのか理解に苦しむ場合が多い。
英語にすれば、「関係」はさしずめrelation あるいはrelationshipだろうが、三省堂のThe NewGlobal English-Japanese Dictionaryには、例文として、There is aclose relation between smoking and lung cancer.(喫煙と肺癌には密接な関係がある)があげられ、もう一つは the relationship between Japanand the U.S.(日米関係)とある。
「関係性」を頻発する人たちは後者のrelationshipのニュアンスで使っているのかもしれないが、これもなにやら抽象性を帯びた「関係性」ではなく、「関係」の意味である。同族のrelativityは相対性、関連性、依存性で、哲学や物理学では相対性理論の意味で用いられる。
こうしてみると、あえて「関係性」と「性」を付け加えたくなる心理の裏にはどんな感情や思惑が働いているのか。関係の性質を問題にしているのか、あるいは関係の濃淡か。それとも単なる口癖なのか。「関係者」にぜひ解説してもらいたいものである。