ムッシュKの日々の便り

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カテゴリ:フランス(社会・政治)( 9 )

フランス・3つの話題

 およそ1カ月のフランス滞在から12月12日の夜帰国した。急きょ決まった総選挙で投票するためである。留守中の郵便物をすべて郵便局留めにしていたから、その間に送られてきたであろう投票用紙が届くかどうか気がもめたが、投票日前日に配達があり、14日日は無事投票をすますことができた。ただ結果として、投票した候補者は落選。死に票となった。
 フランス滞在中は色々な出来事があった。南フランスのアルプスの麓一帯に広がるアルプ・オリアンタル県では長雨が続き、川が氾濫して多くの街が水浸しとなった。5人が亡くなり、3000人が避難生活を余儀なくされた。テレビは昨今の異常気象が原因と伝えていた。
 トゥールーズを発ってパリへ向かう日の朝、車の中で聴いていたラジオ「France Info」が、トウ-ルーズのブラニャック空港が中国企業に買収されたというニュースを伝えた。トゥールーズの空港は、サンテグジュペリの時代からフランスの航空産業の拠点であり、民間航空が利用する建物から、滑走路を挟んで反対側にはエアバス社の工場がある。今回中国資本が投下されたのは空港の建物とエアバス産業で、ニュースは、「航空産業の中心、トゥールーズが中国に買われる」と繰り返し伝えていた。d0238372_10231669.jpg 
 パリに出て、友人とこれを話題すると、パリでは最近、「カフェ Café」や「タバ Tabac」(煙草を売るだけでなくコーヒーや軽食を提供する店)が軒並み中国人に買われているという。多くは中国人の自己資金だが、フランスの銀行も借り手が中国人なら間違いなく融資する。返済が焦げつく心配がないからだという。
 現在フランスに投資された中国資金は全外国資本の0.9%に達し、今後ますます増えると予想される。12月8日に開催されたパリ日本文化会館の審議会でも、フランスと日本の間の文化交流だけでなく、こうした現実を前に両国の戦略的関係を構築する必要性が強調された。
 フランス滞在中のもっとも衝撃的だったのは、12月2日、パリ近郊のクレテーユに住む、若いカップルのアパルトマンが3組の男たちの襲われ、家が荒らされた上、女性がパートナーの目の前で暴行されるという事件だった。襲撃は彼らがユダヤ人だったためで、この事件はフランスの反ユダヤ主義(L'Antisémitisme)が依然として根深いことを示すものだった。ベルナール・カズヌーヴ内務大臣はすぐに、「すべての人種差別を断固糾弾する」という声明をだした。
 ただこのクレテーユの事件は例外ではなく、2014年の上半期だけで、フランス全土で527件のユダヤ人を対象にした、襲撃、暴行、言葉による脅しなどが起っている。しかもこうした人種差別は年々増える傾向にある。
 さらにユダヤ人だけでなく、フランスに住むアラブ人に対しても同じような攻撃や嫌がらせが起きており、フランスの人種差別が根深いことを示している。
 それにしても円安の影響は深刻だった。街中の両替所で交換すれば、1ユーロ=150円もした。昨年の今ごろは130円台で、一時は1ユーロ=100円台ということもあった。この時に比べれば、円の価値は3分の2に下落したことになる。この事態は旅行者はともかく、ヨーロッパにいて円建てで生活している人たちは悲鳴を上げている。この点でもいわゆる「アベノミックス」が、経済によい結果をもたらたとはとても言えない。
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by monsieurk | 2014-12-18 22:30 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(0)

テレビ映画「シモーヌ・ヴェイユ」

 11月26日の夜、フランスの公共放送「フランス2」で、「シモーヌ・ウェイユ」というドキュメンタリー・ドラマの放送があった。高い視聴率を記録し、とくに女性の視聴が目立ったという。
 40年前のこの日、1974年11月26日、ジャック・シラク内閣の健康相だったシモーヌ・ヴェイユは、下院(日本の衆議院に当たる)に「妊娠中絶合法化法案」(IVG、Interruption volontaire de la grossesse)を提出して、趣旨説明を行った。カトリックの国であるフランスではこのときまで妊娠中絶は認められていず、法案は大きな議論を呼んだ。特派員として取材にあたったから、このときの世論の紛糾振りはよく覚えている。
 シモーヌ・ヴェイユは、1927年7月にニースでユダヤ系の建築家ジャコブ氏の長女として生まれた。彼女は自身のことをあまり語ったことはないが、1943年に大学入学資格試験(バカロレア)を通り、大学で法学と政治学を専攻した。そこで将来夫となるアントニー・ヴェイユと出会った。
 だがその直後の1944年3月、一家はドイツ軍によってアウシュヴィッツ=ビルケナウの強制収容所に送られ、1945年1月27日に連合軍によって解放されるまで収容された。その間に両親は殺され、生き残ったのは彼女と妹の二人だけだった。終戦1年後の1946年10月にヴェイユと結婚、判事の職に就いたあと政界に身を転じたのだった。
 ヴェイユが提出した法案は、妊娠中絶を合法化する理由を、「女性の健康を守るため」としていたが、女性問題担当の閣外相だったフランソワーズ・ジルーは、もっと踏み込んで「女性の権利」として法案を提出すべきだという考えだった。しかし下院では、議員481人のうち女性議員はわずか9名にすぎず、「女性の権利」として中絶を認めさせることは到底不可能だった。d0238372_22111390.jpg 案の定、議会はヴェイユの提案をめぐつて紛糾した。社会党など左翼は法案に賛成、政権のバックにある保守や中道の議員の多くは反対だった。議論は3日にわたって続いた。この間終始ヴェイユを支持し続けたのは大統領のジスカール・デスタンだった。
 映画は議会での議論、男性議員の無理解やあからさまな罵倒を、当時の実写フィルムをまじえて克明に再現する。それを毅然とした態度で説得するヴェイユ(写真は演説する当日のヴェイユ。彼女の役を演じたエマニュエル・ドゥボスはヴェイユによく似ていた)。こうした態度から、彼女は「毅然としたシモーヌ」、「勇敢なシモーヌ」と呼ばれた。法案は下院で辛うじて賛成多数を得た。そして1975年1月17日に行われた上院の投票でも、賛成多数で成立した。
 この法案は女性の権利拡大に大きな一歩を画した歴史的なものであり、今日では「ヴェイユ法」の名で知られている。その後ヨーロツパ議会の議長などをつとめたシモーヌ・ヴェイユは、フランスではもっとも尊敬される女性の一人である。
 なお、現在のフランスにおける中絶のあり方については、立命館大学大学院先端総合研究所、山本由美子「現代フランスにおける医学的人口妊娠中絶(IMG)と「死産」の技法」(http://www-ritsumeihuman.com)をインターネット上で読むことができる。
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by monsieurk | 2014-12-03 22:30 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(1)

原発報道をどうみるか

 フランスの家で定期購読している週刊誌「Courrier international(国際通信)」(一部3.50ユーロ)は、年84ユーロの購読料で家に届けてくれます。独自取材のほかに、各国の主だった新聞から主要な記事をピック・アップし、フランス語に訳して掲載しているので世界の動きを知るには重宝な雑誌です。
 そのNo.1130、6月28日~7月4日号の「アジア」の欄に、「東京新聞」の「原子力への回帰は不可避か」という記事が、写真でご覧いただくように、No-rio(Aomori)の挿絵付きで載っています。
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 Courrier誌がつけたリードでは、「政府は〔日本列島〕の西部にある福井の二基の原子炉を再稼働する決定をした。だが原子炉の安全性についてさまざまな疑問があり、反原発の論陣を張る東京の日刊紙は疑義を呈している」として、「東京新聞」の記事をそのまま紹介しています。
 フランス語訳された記事は省略しますが、Courrier誌が日本の主要紙の報道姿勢をどう見ているか、大変興味深いものです。「メディアにより影をひそめる“反対”」と題したコラムでは、こう述べられています。

 「福島の事故以来、反原発の動きは下火になってはいない。反原発デモとともに、原子力エネルギーに関する国民投票を求める署名が行われた。これには32万人の署名が集まったが、6月18日に開かれた東京都議会では否決された。その3日前には首相官邸前に、凡そ1万1000人の人たちが大飯原発の再稼働に反対して集まった。それにもかかわらず日本の主要新聞は、これをほとんど扱わなかった。ただ原子力エネルギーからの段階的撤退を主張する中道左派の「東京新聞」は、読者欄で、この件について、“千通を超す読者からの手紙が、これを扱わなかったわれわれの姿勢について説明を求めている。記事を載せなかったのは、取材記者を送らなかったわれわれの編集ミスで、決して自主規制をしたわけでない。現場に記者がいなかったのは誠に遺憾である”と回答した。
 一方で新聞各紙は、オームによる東京の地下鉄でのサリン・ガスの攻撃(13人死亡)から17年目の6月17日、最後の逃亡犯が逮捕されたことをセンセーショナルに扱い、そのために大飯原発再稼働問題は「影をひそめた」形となった。新聞各紙のこうした扱いは社会の各方面でさまざまな反応を呼び起こしている。」

 Courrier誌が、福島の原発事故以来、政府や東電(TEPCO)の対応を鋭く批判してきた「東京新聞」、とくにその「特報部」の記事を高く評価していることは注目されます。私も事故以後、「東京新聞」の購読をはじめた一人です。ただしCourrier internationalが指摘しているほど、日本の社会は原発をめぐる新聞の報道姿勢について敏感であり続けているでしょうか。・・・
 Courrier internationalはwww.courrierinternational.comで見出しなどをみることができます。
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by monsieurk | 2012-07-04 12:23 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(0)

ユーロ危機、現地からの報告

 6月28日に成田を発って、南フランスのトゥールーズに来ています。機中で面白い体験をしました。搭乗したのは巨大なエアバスA380でしたが、機内のテレビに映し出される映像は垂直尾翼の天辺に付けたカメラから前方を見たもので、画面一杯に、両翼をひろげた白ながす鯨のような機体が空中を切り裂いて飛ぶ様子が映し出されました。これまで目にしたことのない新鮮なイメージでした。
 もう一つは退屈まぎれに映画「Always三丁目の夕日」を観たのですが、隣の家人が1分半ほど早く画面をスタートさせたために、私の前のモニターより事態がその分だけ早く進行していきます。隣の画面をチラチラ覗くと、未来が先取りされているような錯覚をおぼえ、「人生、次に何が起こるか分からないから面白いのに、1分半先の出来事が見えるのは実に不幸なことだ」という感慨をもちました。
 30日土曜日には、NHKラジオで生放送を行いました。以下が電話を使って行った後藤アナウンサーとの掛け合いです。

♪(ジングルM)
(後藤アナ)●世界の時事的な話題を、専門家の方にわかりやすく解説していただくコーナー「ココが聴きたい!」。今日のテーマは、心配されるユーロ危機についてです。

(後藤アナ)●ヨーロッパの共通通貨ユーロの危機については、これまでも報道でお伝えしてきましたが、放送大学名誉教授の柏倉康夫さんがいまフランスにいます。現地での実感はどうか、お話をうかがいます。日本との時差はマイナス7時間で、現地は午前11時をまわったところです。柏倉さん、いまフランスのどちらにおいですか?

d0238372_17205863.jpg柏倉:南フランスのトゥールーズに来ています。昨日、トゥールーズの街の両替所で換金しますと、1ユーロ、103円21銭でした。手数料こみですが、ユーロ高になっています。

後藤Q:それはどんな理由が考えられますか。

柏倉:28日と29日、ベルギーのブリュッセルで「EU首脳会議」が開かれて、EUの経済成長を促すために、EUの域内総生産(GDP)の1%にあたる1200億ユーロ(凡そ12兆円)を投資する案が正式に決まりました。これはEUがこれまで共通の目的で使ってきた予算とほぼ同額という大きな額です。

後藤Q: EUはギリシャやスペインなどの国の赤字が大きく膨らんだために、ユーロの価値が揺らぎ、国の赤字を減らす、つまり緊縮政策を取って財政を再建するように求めてきましたね。

d0238372_17205360.jpg柏倉:そうですが、5月に行われたフランスの大統領選挙で、社会党のオランドさんが勝利し、その後の総選挙でもオランドさんを支える社会党など与党が過半数を得たことで、緊縮だけでは経済は好転せず、経済成長を高め、税収を増やす必要があるという主張が受け入れられました。オランド大統領は首脳会議に前にも、ドイツのメルケル首相と会って、こうした考えを伝えて、周到に根まわしをしていました。そして今度の首脳会議で、EU全体の政策として決定されたわけです。

後藤Q:緊縮と成長という、いわば「二兎を追う」ことになるわけですが、それは可能でしょうか。

柏倉:オランド大統領が困難を承知で、後藤さんの言う「二兎を追う」政策を主張したのは、緊縮一辺倒では人びとの心理が落ち込んでしまい、活力が失われるという大きな懸念がありました。ギリシャでは再選挙でEUに留まるとした政党の連立政権が出来ましたが、背景には、難しいけれども緊縮と成長を共に達成するという目標が掲げられたことが大きかったのです。フランスでは25日、今週月曜日の閣僚の話し合いで、向こう3年間、国家予算の額を凍結し、その上で、雇用創出のために重点的に配分する方針を決めました。

後藤Q:いまヨーロッパでは、スペインの銀行の倒産が懸念されていますね。

柏倉:スペインをはじめ巨額な財政赤字に苦しく国の国債が、国際的な投資に狙い撃ちされています。スペインでは国内の銀行の資本の不足が5兆円から6兆円に上ると云われ、これを国が支援すると今度は国の赤字が増えてしまいます。今回、EUが金融安定化基金を使って、各国の銀行に直接資金を注入することが出来ることになりました。EUは最大で10兆円の金融支援を予定するということです。
会議前はドイツが強く反対すると見られていただけに、合意が得られたことは好感をもって迎えられています。株価も上がっています。

後藤Q:柏倉さん、実感としてはフランスの人たちの生活は変化がありますか。

柏倉:日常生活では大きな変化を感じません。ただオランド大統領の誕生で政治状況は大きく変わりました。大統領と議会が同じ勢力になったこともあり、時間をかけて改革に取り組めると考えている人たちが多いですね。明日7月1日から最大の年中行事のヴァカンスが始まり、人びとの関心はそちらに向いているようで、高速道路は今朝から渋滞が始まっていると、ラジオが伝えています。

(後藤アナ)●ありがとうございました。今日は、放送大学名誉教授の柏倉康夫さんにフランスからリポートしてもらいました。以上、「ココが聴きたい!」でした。
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by monsieurk | 2012-07-02 17:27 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(0)

フランス大統領選挙

 5年に一度行われるフランスの大統領選挙の第1回投票が、4月22日、この日曜日に行われる。共和制をとるフランスでは、主権をもつ国民の意向が尊重され、国民の直接投票で選ばれる大統領の権限はきわめて大きい。
 ヨーロッパの国々では、国民議会の議員を選出し、多数派のなかから首相が選出されて内閣を組織するところが大半であるのに比べると、フランスの大統領の選出は異例といえる。いまの政治制度はドゴールの主導でつくられた第5共和制の憲法の枠のなかにあり、大統領が首相を指名して内閣が組織される仕組みである。
 今回の大統領選挙に立候補しているなかで、現職で与党「国民運動連合」のニコラ・サルコジに対抗するのは、社会党の前の第一書記のフランソワ・オランドや、右派「国民戦線」の党首マリーヌ・ルペン、元社会党員で共産党と提携したジャン=リュック・メランションなどである。
 社会党の候補者オランドは今年57歳。2008年までの11年間、社会党第一書記をつとめていた。前回2007年の大統領選挙でサルコジ氏に敗れたセゴレーヌ・ロワヤルとは長年同居して子どももあるが、前回の選挙の直後に離婚している。
 もう一人の有力候補のマリーヌ・ルペンは、右派政党「国民戦線」を創設したジャンマリ・ルペン氏の三女で43歳。少年犯罪などを専門とする弁護士で、父親の跡をついで「国民戦線」を引っ張ってきた。私生活では離婚した夫との間に3人の子どもがいる。
 今回のフランス大統領選挙では大きく3つの争点があり、それを中心に論戦がくりひろげられてきた。
 ヨーロッパはギリシャの経済危機に端を発した深刻な状況は依然として変わっておらず、一番の課題はいかにして財政の健全化をはかるかである。社会党のオランドは、1月末に選挙公約を発表したが、彼が公約の最初に掲げたのが雇用の創出だった。「私は失業と戦う」として、教育の分野で6万人を新たに雇用し、サルコジ政権下で65歳に引き上げられた定年年齢を60歳に戻す、さらに以前の社会党政権で導入された1週35時間労働の制度を守ると述べて、社会党の支持基盤である労働者やサラリーマン層の支持を重視する政策を打ち出した。これらを実現するには政府の財政出動が必要で、いわゆる「大きな政府」路線である。
 これに対して保守のサルコジは、ヨーロッパ全体の経済を立て直すことが急務ないま、さらなる税金の投入は、この課題に逆行するもので反対だと述べ、付加価値税(日本の消費税に相当)を、現在の19.6%から今年10月から21.2%に引き上げて財政の健全化をはかり、その代わりに、企業の社会保障の負担を減らすことで民間企業の活力を生み出し、それによって10万人の雇用を生み出すという計画を打ち出した。
 ヨーロッパの付加価値税は日本に比べて高いが、食料品など日常生活に直接かかわるものは低く抑えられ、付加価値税が高い分、社会保障が手厚くなっている。負担は多いが見返りも大きく、安心が得られるという構図である。この点オランドは、付加価値税のさらなる増税には反対で、富裕層や大企業への増税で税収の増加をはかるとしている。今回の大統領選挙でも、どのような社会を選択するかという争点は明確に示されていると言える。
 大統領選のもう1つの争点になったのが、福島の深刻な事故をうけて、原発大国フランスの原子力発電を将来的にどうするかである。この点に関しては、サルコジは推進、オランドは電力の75%を原発に依存している現状を50%まで引き下げると主張している。
 これらに対して、ルペン候補は従来からの主張である移民を制限するという政策に加えて、経済政策の自由を取り戻すためにユーロ圏から離脱すべきだと主張している。彼女は世論調査の度に20%に近い支持を集め、経済不況からくる閉塞感がルペン支持につながっている形である。
d0238372_8525547.jpg 第3の争点である移民問題については、3月19日に南フランスのトゥールーズ(私がよく滞在する都市)で、アルジェリア系移民の2世の若者(フランス国籍)が、ユダヤ人学校に侵入して銃を乱射し、教師1名と生徒3人を含む7人が殺される事件が起こった。
 犯人はトゥールーズ郊外のレザジールで育った。ここは生活保護家庭が多いとされる地区で、彼の両親は5歳の時に離婚、父は麻薬取引で禁固5年の刑で服役した。そうしたこともあって盗みを繰り返すようになり、彼自身もひったくりの罪で禁固2年の実刑を受けた。その後、自動車整備士の資格をめざすが失敗。軍隊への入隊もうまくいかず、過激なイスラム思想に惹かれるようになったのはそのころといわれる。
 レザジールは国が定めた「問題が生じやすい地区(ZUS)」の一つで、こうした地区は大都市近郊を中心にフランス全土で700カ所あり、凡そ440万人、全人口の7%が住んでいる。統計によれば彼らの世帯収入は大都市の平均の半分程度である。
 今度の事件が起こると、サルコジ大統領はただちに多くの警官隊の投入を命じ、警官隊は犯人が住むアパートを特定して銃撃戦の末に射殺し、事件そのものは収束した。
 サルコジ大統領はあらためて移民制限の政策を打ち出し、国民戦線のルペン候補の支持者の取り込みをはかった。事実、それまで劣勢だった世論の支持が上向き、オランド候補を上まわったが、最近では再度の逆転をゆるしたという。力による鎮圧や移民の排除だけでは、社会が抱え込んだ深刻な課題を解決できないのは明らかである。
 投票1週間前の世論調査でそれぞれの支持率は、社会党のオランドが30%、サルコジが27%、ルペン16%、メランション16%となっている。さらに現時点での予想では、4月22日の第1回投票では誰も過半数には達せずに、5月6日の第2回投票で上位2者、オランド対サルコジの決選投票になると見られる。そしてその場合の得票予想は、オランド54.5%に対してサルコジ45.5%で、社会党政権が誕生する可能性が高い。そうなるとフランスの政治がこれまでより内政重視になるとも考えられ、選挙の結果が、ヨーロッパの動向にも大きな変化をもたらしかねない。その点でも今回の選挙結果は大きな意味を持ってくる。
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by monsieurk | 2012-04-21 09:08 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(1)

うわさ

 政治家には噂がつきものです。フランスでは来年4月に5年ぶりの大統領選挙を控え、いま候補が出そろいつつありますが、彼らの多くもさまざまな噂に悩まされています。
 社会党は7月13日に予備選の立候補を締め切り、夏休み明けの10月に党としての候補者を一本化する選挙を行います。ニュースでもご存知のように、ニューヨークのホテルでセックス・スキャンダルを起こした前国際通貨基金理事ドミニク・ストラス=カーンは結局立候補しませんでした。
 DSK(マスコミはこう略称します)の事件については、謀略説、金目当ての犯行説などが飛び交っていますが、真相はやがて裁判で明らかにされると思われます。それにしても事件がDSKにあたえたダメージは大きく、彼の政界復帰を望まないという世論が49パーセントと復帰期待を上まわり、立候補を取りやめる結果になりました。
 13日には社会党の大統領選候補として6人が名乗りをあげました。有力なのは2008年から社会党第一書記をつとめるマルティーヌ・オーブリ(60歳)、前第一書記のフランソワ・オランド(57歳)、それに2007年に社会党の候補としてサルコジ現大統領と争って敗れたセゴレーヌ・ロワイヤル(58歳)の3人です。その彼ら、彼女らがいずれも世間の噂にさらされています。
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by monsieurk | 2011-07-20 21:18 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(0)

PACS・結婚のもう一つの形

 前回は教会での結婚についてお話ししましたが、フランスでの婚姻は法律的には市役所に書類を提出し、それが受理されれば成立します。ですから結婚式は、まずは当事者の2人が市役所に出向き、市長や助役(彼らは国旗と同じ三色の襷を肩からかけています)の前で結婚の誓いをすればそれで完了です。着飾った親類・縁者の祝福をうけ、そのあとは大抵近くのレストランや実家で祝宴を催すという段取りです。
 ところがこうした婚姻ではない、もう一つの結婚の形がフランスでは急増しています。それは1999年11月に施行されたPACS(Pacte Civile de Solidarité 市民連帯契約)に基づく事実婚です。フランス民法第515-1条には、「同性または異性の成人2名による共同生活を結ぶために締結される契約」と定められていて、同性または異性のカップルが契約書を自由につくって、それを裁判所に提出して公認されれば、晴れて共同生活を営めることになりました。しかも2005年の改正によって、税制上の優遇措置が婚姻とほぼ同じように受けられるようになりましたから、その後はこの形の事実婚が急速に増えています。

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by monsieurk | 2011-07-04 19:19 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(0)

日本の評判

 成田-パリ間のAFはJALとの共同運航便で、客室乗務員(いまはキャビン・アテンダントと呼ぶそうです)が14名乗務していました。普段の状態ですと、4、5名は、パリあるいはロンドンをベースにした外国人クルーが乗っているのですが、今回はただ1人のみでした。そこで日本人のメンバーのお一人に聞いてみますと、本来4名の外国人クルーが乗務するはずだったのだが、3名は乗らず、その分を日本人クルーがカヴァーしたということでした。理由は言いませんでしたが、パリ発成田行きの便を敬遠したようです。彼女が言うには福島の原発の事故の後しばらくは、ドイツのルフトハンザ航空などは成田行きの便をすべて名古屋や関西空港行に変更したということでした。
 旅行の前にフランス大使館の領事部の知人を訪ねる用事があったのですが、彼曰く、在東京フランス大使館でも、領事業務を行う館員にたいして、「希望するならば東京を離れて、神戸で勤務してもよい」という通達が出され、半数を超えるフランス人スタッフが神戸に移ったとのことでした。それでも1カ月後には、ほとんどの人たちが東京に戻ってきたそうです。

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by monsieurk | 2011-07-01 01:40 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(0)

シャルル・ドゴール空港にて

 12時間の長旅で、ようやくシャルル・ドゴール空港に到着しました。成田からのエール・フランス271便は、現地時間16時40分に定刻通り2Fターミナルに着きました。
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 一度入国手続きを済ませた後、ターミナルの中をぐるっと回って、国内線に乗り継ぐために手荷物検査を受け、同じ2Fの別の搭乗口から国内線に乗り換えてトゥールーズへ向かいます。成田で預けた荷物は直接積みかえられて、トゥールーズで受け取ることになります。国内線AF7788便の出発は18時45分。待ち時間は1時間弱です。
 私たち日本のパスポート所持者はこれでEU域内に入ったわけで、フランス国内はもちろん、EUの加盟国とスイス、ノルウェー、アイスランドにはどこへでもVISAなしで旅行出来ることになります。これはヨーロッパの25カ国が「シェンゲン(Schengen)協定」に加わっているお陰です。

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by monsieurk | 2011-06-29 00:17 | フランス(社会・政治) | Trackback | Comments(0)
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フランスのこと、本のこと、etc. 思い付くままに。


by monsieurk
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