ムッシュKの日々の便り

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カテゴリ:フランス(教育)( 7 )

フランスの宿題論争

 フランスでは昨年から、小学校で宿題を出すべきか出さない方がよいかをめぐって論争が続いている。事の発端は、昨年3月にフランス最大の保護者の団体が行った2週間の「宿題ボイコット」だった。小学校で出された宿題を、保護者が子どもたちにやらせなかったのである。そしてその結果を検証し、宿題は子どもに苦痛を与えるだけで成績にはさして影響がなく、むしろ家庭の状況、たとえば両親が移民であるためにフランス語が不十分だったり、親が共働きで宿題を見てやる時間がないなど、家庭によって格差が大きくなり、教育の平等を損なうと主張した。さらに去年秋には、オランド大統領が2013年度からはじめる教育改革の一環として、小学校の授業をサルコジ政権のもとで週4日としたものを、週4日プラス半日(月、火、木、金と土曜半日)に戻すとともに、宿題を廃止することを提案した。ちなみにフランスの小学校は水曜日が休みで、この日は教会で教理問答をおしえられる日とされてきた。
 しかし世論調査では、回答者の68%の人たちがこの大統領の提案には反対。つまり学校が宿題を出すことに賛成という意見だった。それも学歴の高い親や所得の多い親ほど宿題に賛成という結果が出た。
 フランスでは小学校はほとんどが公立で、もともと記述式の宿題を出すことは禁止されている。フランスの小学校は5年間で、その先に4年の中学校、3年の高等学校と続くが、こうした学校制度と理念は、1789年のフランス革命以来200年以上続いてきたもので、その大原則は、公私を厳密に分けること、そして公の学校は知育を担当し、徳育は家庭や教会が担うという考えである。
 わが家の娘と息子は小学校をパリ郊外ですごし、いま南フランスのトゥールーズに住む二人の孫も家の近くの小学校に通ったが、学校の登下校には必ず肉親がつき添う必要がある。そして一端、校門をくぐれば、それからは学校が全責任を負うという原則が固く守られている。
 フランスの小学校教育では国語の学習が重視され、詩人や文豪の詩や散文など、お手本となる文章を徹底的に暗記させられる。正しい国語で自分の考えを正確に表現できることが、教育の最大の眼目とされているためで、子どもや孫たちは、家でヴィクトル・ユゴーやラ・フォンテーヌの詩などを暗唱していたが、宿題はそれだけだった。夏休みにも宿題は出されなかった。
 フランスは夏休みの後で新しい年度を迎える秋入学であることが、その理由の一つだが、もう一つには、学校が宿題を出すのは家庭の領分を冒すことになりかねないという考え方がある。知育は学校が責任をもって行い、家庭は徳育を担うという考えが生きていたわけです。人は知的に成長するとともに、良き市民としての価値観を身につけてこそ人間として完成していくもので、学校と家庭は役割を分担して子どもを育てるという伝統が続いてきた。
 フランスでは小学校から中学校(コレージュ)へ進むときに試験はなく、住んでいる地域によって進学する中学が決まっているから、入試の準備のための塾通いはない。もっともドリル、練習帳などは市販されて、それで勉強する小学生はいるが、それをやるかどうかは、あくまで親の責任のもとでの選択である。しかしこの場合も親の学歴や経済的余裕などの要素が反映されるわけで、教育の平等をどこまで保障できるかは大きな問題となっている。だからこそ知的教育は学校内で完結すべきだというのが、社会党政権の宿題無用論の主張なのである。
 ただフランスも国際化の波にさらされていて、小学生のときに学ぶべき事柄が増えている。そのために学校で学ぶ時間だけでは十分ではないとして、独自の判断で宿題を出して、生徒の学力向上を目指す教師が増えてきているのも事実である。2013年秋の新学期を前に、この宿題論争ははたしてどんな決着をみるだろうか。
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by monsieurk | 2013-05-03 22:00 | フランス(教育) | Trackback | Comments(0)

中国語熱

 中国ブームは世界的な現象で、フランスも例外ではない。
 フランスの中等教育は、日本でいえば中学校と高等学校のレヴェルに相当し、学生はこの段階で、国語つまりフランス語の他に、第一外国語と第二外国語が必須である。フランスの英語教育は、いまは小学校2年生のときからはじまるので、2009年の統計を見ると、第一外国語は、学生の97.7%が英語を選択する。
 英語が世界の共通語なのはまぎれもない事実で、世界に支店を持つフランス資本の企業でさえ、社内の共通語をフランス語ではなく、英語としているところが圧倒的に多い。第一外国語に英語を選ぶのはこうした現実の反映だが、第二外国語はどうかといえば、1位がスペイン語の39.7%である。スペイン語はフランス語と同じくラテン語から派生した言葉だから、習得が比較的やさしく、スペインはもとより南米など多くの人たちがスペイン語を用いているから、スペイン語を話せれば便利だという実用的な側面が背景にある。次がドイツ語の15.4%。3位がイタリア語で4.2%。そして第5位がなんと中国語である。
 中国語を選択する学生はこのところ急増していて、2001年にはフランス全国で6,000人ほどだったものが、2007年には21,000人、2009年には25,685人の学生が中国語を学習している。パーセンテージとしては0.4%と、イタリア語の10分の1だが、アルファベットを使うポルトガル語やロシア語の上をいき、全国で485の高等中学校で中国語が教えられている。中国語の教師も388名と、2004年の135名から3倍に増えている。
 フランスではマンガが読まれるなど一種の日本ブームがあることは、以前のブログ(「Manga」、2011.07 .23 )で紹介した通りで、いまやフランスの地方都市でも本屋には日本のマンガ・コーナーがある。さらにブームはマンガだけでなく、日本の若者ファッションに関心が集まっている。そのために日本語を学びたいという若い人たちが増えているのは事実だが、日本語を正規の授業とし教えている学校はまだまだ少ない。
 外国に自国語を普及する機関としては、イギリスのBritish Council、ドイツのGoethe Institut、そしてフランスのAlliance françaiseなどが有名だが、中国もConfucius Institut(孔子学院)を世界中につくって、中国語の普及に努めている。これはHanbanという北京に本部がある、世界に中国語を普及する目的の組織「中国語国際協議会」が出資しているもので、フランス全国にすでに12校あり、一番新しいものは南フランスのトゥールーズに最近オープンした。
 Hanban、「中国語国際協議会」は、毎年1000人以上の中国語の教師を海外に送りだしていて、アメリカ、ヴェトナム、タイ、韓国などから講師の派遣要請が多いという。この他、最近では400人のアメリカ人の中国語教師が協議会の資金で中国に招待され、フランスからはここ毎年間25人の中国語の教師の一行が招待されているという。こうしたところにも、経済発展の著しい中国の気込みが感じられる。
 この点は日本文学の海外普及のための翻訳事業に出していた基金を取りやめにし、日本語の普及を民間の努力に頼っている日本とはおよそ逆である。言葉は文化の根幹をなすものであり、その普及は大きな意味を持っている。フランスにおける日本語の普及では、高等教育機関「東洋語学校」に教師を派遣して、これまでは優秀な日本語や日本文化の研究者が育ってきたが、中学校や高等学校のレヴェルで日本語を普及させるための日本側の協力が必要がある。ちなみにトゥールーズの、日本人が経営するフランス料理のレストランでは、「トゥールーズ日本人協会で日本語を教えます」という小さなアナウンスメントを見かけた。
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by monsieurk | 2012-11-19 23:30 | フランス(教育) | Trackback | Comments(0)

フランス語の口述試験

 孫娘の夏実・ジボーは、今年が「バカロレア(大学入学資格試験)」の第一年度で、先日ようやく「フランス語」の口述試験が終わり、夏休みになりました。
 フランスの大学受験制度については、『指導者はこうして育つ~フランスの高等教育』(吉田書店、2011)で詳しく述べましたが、リセ(高等中学校)を終える年の6月に、「哲学」をはじめ主要科目の試験があります。そしてその1年前には、フランス語(国語)の筆記と口述試験が課せられます。これはPre-bac(前段階のバカロレア)と呼ばれ、2012年度からは制度が変わって、「地理・歴史」の筆記試験(口述試験は次年度)が加わることになりました。
 フランス語の筆記試験問題の例は本で詳述しましたので、今回は「フランス語」の口述試験がどのように行われるかを紹介いたしましょう。
 彼女はトゥールーズの中心部にあるリセの「フェルマ校」に通っていて、将来の志望は理科系ですので、試験は理系のグループSを受験しました。このほかに文化のL、社会・経済系のESのグループがあります。どのグループを受験するにせよ、「フランス語」と「地理・歴史」、それに卒業の年に行われる「哲学」は、すべての学生が受けなくてはならない必須科目です。
 「フェルマ校」では6月までの1年間の国語の授業で、詩、散文、演劇、批評など、ジャンル別に古今の作家の作品を取りあげて、先生が分析と解説を行いました。今年の口述試験では、そこから選ばれた作家のテクスト22篇が、受験生と審査員(資格を持った他校の教授)に前もって通告され、学生は全テクストについて、どれが出題されてもいいように準備をします。学校によっては、テクストの数がもっと少ないところもありますが、この数も採点の上では考慮の対象になります。
 22のテクストとは、スカロン『滑稽物語』1篇、アベ・プレヴォー『マノン・レスコー』2篇、ラクロ『危険な関係』1篇、アルベール・カミユ『異邦人』4篇、スタンダール『パルムの僧院』1篇、パスカル『パンセ』1篇、モンテーニュ『エセー』1篇、モンテスキュー『法の精神』1篇、ヴォルテール『寛容について』1篇、ラシーヌ『フェードル』4篇、ルイ・アラゴン『エルザの瞳』4篇、ラファイエット夫人『クレーヴの奥方』1篇です。複数のテクストが出題されたカミユやラシーヌなどは、内容や性格の異なる文章が選ばれて、試験問題の幅がひろげられるように工夫されています。
 実際に行われた試験は次のようです。試験は1週間にわたり、トゥールーズにあるリセをつかって行われますが、グループSはたまたまフェルマ校で行われました。名前のA、B,C順に日時が割り振られ、学生は試験1時間前に集合させられます。そして自分の番になると、22のテクストの中から1つを告げられ、30分の準備時間があたえられて、学生はこの時間内で解答の準備をします。
 夏実の場合は、午後4時に問題が示されました。課題のテクストは、ブレーズ・パスカルの『パンセ』のなかの「二つの無限」を論じた断章(ラフマの分類で199)です。
 その有名な断章は比較的長いのですが、出題された個所は以下のところです。

 私はそこに(1)に一つの新しい深淵があることを、彼に(2)見せてさせてやりたい。私はこのアトムの縮図とでもいうべきものの内部に、目に見える宇宙ばかりでなく、およそ自然について考えられる限りの広大無辺なものを描いてみせたい。彼はそこに宇宙の無限を見るであろう。しかもその各々が、目に見える世界と同じ割合で、大空と遊星と地球とを有しているのを目にするだろう。彼はこの地上で、動物たちを、ついにはダニを目にするだろうが、彼はそれらの中に、最初に与えられたものを見いだすことだろう。そしてさらに小さなもののなかにも、果てしなく休むことなく、同様のものを見出すために、広大なものと同様に、その微小さの中にも素晴らしい、驚くべきものを見つけて、彼は茫然となるだろう。なぜなら、万有のなかでは、それ自体眼にみえないほど小さなものに過ぎない広大な宇宙にあっては、有るか無きかのものにすぎなかった私たちに身体が、いまや、誰も到達しえない虚無と比べれば、一つの巨像、一つの世界、あるいは一つの全体である。このことに驚かない者がいるだろうか?
 このようにして自己をかえりみる者は、自分自身に恐怖を感じるだろう。そして、自然によって与えられた全体のなかで、無限と虚無という二つの深淵の間に懸けられている自己をかえりみて、彼は驚異の前で恐れおののくことだろう。私は思うに、彼の好奇心は驚嘆にかわり、僭越にもそれらを探求しようとするよりも、むしろ沈黙のうちに、それらを熟視しようという気持になるだろう。

 なぜなら、人間とは自然のうちにあって何ものなのか? 無限に比しては虚無、虚無に比しては全体、無と全体との中間。

  注 (1)ダニを指す、人間の眼で見える一番小さいもの。
     (2)人間に

 以上が、夏実が取りくんだテクストです。彼女はこれまで勉強したものを総動員して、30分間でまとめ、口述試験にそなえました。
 審査員の教授が出した問いは、文字通りに訳せば、「パスカルは、なぜ、またいかにして読む者の眩暈を引きおこそうとしているか」(Comment et pourquoi Pascal provoque-t-il le vertige du lecteur?)というものでした。この問い自体がなかなか難しく、vertigeとは、崖の淵にたったときなどに感じる「めまい」などを指す言葉ですが、これをどうとるかによっても答えは違ってきます。
 この質問にたいして、夏実は10分間にわたって自分の考えを述べ、そのあと10分間、審査員との間で質疑応答が行われました。彼女がどう答えたかは、一週間後に出る結果が良ければ教えてくれるそうです。
 試験が終わった夜は、夏実をはじめ一家の労をねぎらうために、私のご馳走でレストランに繰り出しました。結果発表の日はパパが奢ることになっていますが、レストランが三ツ星になるか星がなくなるかは、成績次第とのことです。
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by monsieurk | 2012-07-09 06:33 | フランス(教育) | Trackback | Comments(0)

映画「小さな哲学者たち」

 遅ればせながら、フランス映画『小さな哲学者たち』(原題 Ce n’est qu’un début 「それは始まったばかりだ」)を観た。渋谷でユニークな上映活動を続けている「アップ・リンク」(UpLink)の上映サロンだった。3歳から5歳になる幼稚園児が、いかにして「考える力」を身につけていくかを克明に記録したドキュメンタリーである。
 2004年4月、この映画の製作者の一人シルヴィ・オバンは、哲学者ミシェル・オンフレがラジオ放送で、「すべての子どもは哲学者だ。そして、ある子どもはいつまでも哲学者のままであり続ける」と語っているのを耳にした。たしかに子どもたちには考える能力がある。その証拠に彼らが執拗に繰り出す質問は意想外で面白い。だが、そうした考える力をもち続ける方法はあるのだろうか。この問いがすべてのはじまりだった。
 オバンたちはパリの南40キロにある街、ル・メ・シュル・セーヌ(Le Mée sur Seine)の「ジャック・プレヴェール幼稚園」が園児に哲学の授業を行っていることを知った。彼らはさっそく校長のイザベル・デュフロックに会い、実際に授業を行っているパスカリーヌ・ドリアニに実態について話を聞いた。詩人ジャック・プレヴェールの名前のついた幼稚園は教育優先地区(ZEP)に指定された幼稚園で、革新的な教育法を推進する実験校の一つだった。
 パスカリーヌ・ドリアニは近くの都市ムランにある「教員養成大学校」(IUFM)で学び、12年にわたって幼稚園の教師をつとめてきた。2007年からは、3歳から5歳の子どもたちを対象に、月に数回「哲学のアトリエ」を開いてきたのである。
彼女は子どもたちを集めると、集中させるためにローソクを灯す。子どもたちはそのまわりに輪になって坐り、色々なテーマについて考え、意見を述べる。「愛ってなに?」、「自由ってどういうこと?」、「恋人と友人はどうちがうの?」・・・
 パスカリーヌは映画の冒頭でこんな質問をする。「目を閉じてみて。頭の中に何が見える?」「もやもやしたもの」、「それはなぜ?」、「réfléchirしてるからさ」(このréfléchir というフランス語を日本語にどう訳すかが難しいのだが、映画の字幕では「頭をはたらかすから」としている)。「それからどうするの?」、「口から出すのさ、・・・ことばを」、こう答える男の子は、なにかが頭から口へおりてきて、それが口から飛び出す仕草をする。
 こうして「哲学のアトリエ」がはじまり、子どもたちはさまざまなテーマを考えることになる。「恋をしたら、どうやって人を愛するの?」、「おなかのなかがくすぐったくなるんだ」、「赤くなるんだ」、「どうして赤くなるの?」「おなかの中に心があるから」。「自由ってなに?」、「自由って、・・・一人でいられること、呼吸して、優しくなれることだと思う。」「自由って・・・、監獄から出ること」、「うーんと、家具の上のホコリを掃除するときは自由じゃない」。「魂ってなんだと思う?」、「目に見えなくて、青いもの」。アフリカ系の男の子がいう。「ぼくは色が白くなりたいよ」、「なぜ?」、「だって白人の方がやさしいもの」、「ちがうは、黒人の方が強いわ」
 ル・メ・シュル・セーヌはパリと首都圏高速鉄道(RER)で結ばれている典型的な近郊の街で、人口は2万人余り。北アフリカやセネガルなどアフリカやヴェトナムといった旧フランス植民地出身の家族も多く住んでいる。アトリエでは皮膚の色の違い、貧富の差といった微妙な問題も取り上げられ、子どもたちは自分たちの家族の状況や歴史を口にすることになる。そのためにアトリエをはじめるに当っては、家族の了解を得る必要があった。幾度も話し合いがもたれ、家族は幼稚園を信頼して子どもたちを積極的に参加させることに同意した。それだけでなく、親たちは幼稚園での話し合いをうけて、帰り道や食事の時間に子どもの質問に答え、子どもたちが学んだテーマについて会話をかわすようになった。
 こうした地道な努力の結果、初めのうちは「哲学のアトリエ」がはじまると眠気に襲われていた子どもたちが、やがて自分の考えを友だちにぶつけ、子どもたち同士の議論が白熱するようになった。パスカリーヌはそれを見守り、ときに上手くリードする役に変わっていった。
 映画を見ていて気づくのは、子どもたちが“Je suis d’accord”、 “Je suis pas d’accord”、
「ぼくは賛成だ」、「わたしは賛成しないわ」とハッキリいい、その上で“parce que・・・”「なぜって・・・」と、賛成や反対と考える理由や根拠を必ずつけ加えることである。仲間の話に耳を傾け、それに対する自分の考えを理由をあげて伝える態度を「哲学のアトリエ」を通して身につけたのである。
 撮影は2年間続いた。パスカリーヌが、仲間に暴力をふるった男の子に、「なぜぶったの!」と厳しくたしなめる場面がある。男の子は「わからない」としか答えない。彼女はそれに対して、「哲学のアトリエで学んだのは、意見がちがったら話しあうことじゃなかったの?」、「そう」。男の子は納得する。
 映画の最後で子どもの一人が、「小学校へ行ったらローソクを灯した哲学の時間はなくなっちゃうの? でもこの幼稚園のことは忘れないわ」と言う。世界で初めて幼稚園児に「ものを考える」時間をもたせる試みは、他人に耳を貸し、差異を理解する姿勢をこどもたちに植えつけた。他人の意見は、自分のものと同じだけの価値があることを理解できる小さな市民を生み出すのに成功したように見える。
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by monsieurk | 2011-10-16 21:04 | フランス(教育) | Trackback | Comments(0)

グラン・ゼコール

 大統領選挙の社会党の有力候補3人はいずれも「国立行政学院(ENA)」の卒業生です。ニコラ・サルコジ大統領もパリ第10大学を卒業後、「パリ政治学院(シャンス・ポー)」に学んでいます。これらはいずれも大学とは別の、「グラン・ゼコール」と呼ばれる高等教育機関で、フランスでは政治家に限らず、各分野の指導的立場の人たちの多くがグラン・ゼコールの出身者です。
 前にも紹介したバカロレア(大学入学資格)を獲得した者は、大学へ進学することが出来ますが、「グラン・ゼコール」に進むには、幾つかの高等中学校(Lycée)に併設されている準備学級で2年ないし3年間猛勉強したあとで、希望のグラン・ゼコールを受験します。ここは文字通りの狭き門で、同年代の一握りの者しか入学することができません。グラン・ゼコールの卒業生が社会的に重用されるゆえんです。
 理工系のグラン・ゼコールとしては、「エコール・ポリテクニック」、「国立パリ高等鉱山学校」、「中央大学校」、「国立航空宇宙大学校」などが名門とされ、文科系では、「高等師範学校」、「パリ政治学院」、「HEC経営大学校」などが有名校です。これらはいずれもナポレオンのもとで18世紀末に創設された伝統校ですが、「国立行政学院(ENA)」は1945年にドゴールの肝いりでつくられたグラン・ゼコールです。ここへは他のグラン・ゼコールを卒業後に入学する者がほとんどで、毎年100名前後しか入学が許されません。卒業生はエナクル(Enacle)と呼ばれて、政界官界のリーダーの多くを固めています。
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リュ・ド・ユルムの高等師範学校


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by monsieurk | 2011-07-21 22:47 | フランス(教育) | Trackback | Comments(0)

速報・バカロレアの結果

 先のブログで今年2011年度のバカロレア(大学入学資格試験)の哲学の問題を披露して、皆さんの挑戦に期待しましたが、7月5日に結果が発表されました。France Infoというラジオと新聞 Le Figaroの電子版 は、「今年の普通バカロレアの試験で、全科目の平均点が20点満点中20点を取った学生がいる」と速報しました。
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Le Figaroのこの記事は こちら



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by monsieurk | 2011-07-06 17:53 | フランス(教育) | Trackback | Comments(0)

2011年度のバカロレア(大学入学資格試験)

 巨大地震と大津波がこの国を襲い、呆然として日々を過していた4月初め、未知の方から一通の手紙が届きました。差出人は吉田真也氏で、出版業界も大きな影響をうけている最中に、個人で出版社「吉田書店」を立ち上げた。ついてはかつて筑摩新書の一冊として出版された『エリートのつくり方――グラン・ゼコールの社会学』の改訂版を出すことが出来ないかという趣旨の内容でした。
 この本は1996年1月に出版したもので、フランスの高等教育の実態を書いたものが少なかったこともあって、刊行当時は書評などでも取り上げられましたが、その後は改版することなく15年がすぎました。この間、フランスの教育事情にも多くの変化があり、加筆、修正をして改訂版を出すことが出来るのは、著者として願ってもないことでした。
 さっそく筑摩書房に連絡をとると、吉田書店から改訂版を出すことを快く認めてくださいました。まことに有難いことでした。改訂版の原稿は6月半ばに書き終え、出発前日の明日、ゲラが組み上がります。フランスでゲラに手を入れる予定です。
 大震災では大学入試も大きな影響をうけました。直前に行われた大学入学試験では、携帯電話を使ったカンニングが起こり大きな事件となりました。いまでは何か遠い出来事のように思えますが、今回は日本の大学入試のあり方と大分違うフランスの大学入試を取り上げようと思います。
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by monsieurk | 2011-06-26 15:53 | フランス(教育) | Trackback | Comments(0)
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フランスのこと、本のこと、etc. 思い付くままに。


by monsieurk
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