二つの結婚式
アルベール二世は53歳、チャーリーン(これからはフランス読みでシャルレーヌと呼ばれます)は33歳で、20歳差の結婚です。アルベール二世はレーニエ三世とグレース王妃の長男で国家元首。母のグレース王妃は元アメリカ女優で「シンデレラ」に擬せられましたが、シャルレーヌ王妃も同じです。彼女は3つのオリンピック金メダルの保持者で、モナコの世界水泳大会のときにアルベール二世と知り合い、交際をスタートさせました。公自身もボブスレーの元オリンピック代表です。 ともに初婚ですが、アルベール二世はこれまでに二人の女性との間に男の子と女の子をもうけており、認知はしていますが、公位継承権は認めていません。
二人は前日1日に法律上の結婚はすませていたのですが、それ以上に大事だったのが昨日の教会での結婚式でした。式にはフランスのサルコジ大統領夫妻をはじめ、800人を超える招待客が出席して、モナコ市民とともに結婚を祝福しました。式のパレードでは、沿道から南アフリカの国旗も打ち振られていました。
じつは昨日はもう一つ、義理の息子クリストフの叔母にあたる人とその連れ合いとの結婚式がありました。二人はともに一度離婚したあとの再婚で、市役所での式は20数年前に挙げていたのですが、どうしても教会でも結婚を認めてもらいたかったのです。しかしフランスのカトリック教会はいまだに離婚を認めておらず、二人の希望はなかなかかなえられませんでした。叔母の母親(クリストフの祖母)は熱心なカトリック教徒で、娘のためにローマ法王に直に手紙で願い出たこともあったということです。
そうした十年以上におよぶ教会との話し合いや、日ごろの熱心な活動のおかげでようやく結婚の許可が下り、昨日7月2日に、彼らが住むモントーバン(トゥールーズから車で1時間)の教会で挙式することができました。式のあとは、お昼から真夜中の1時過ぎまで、教会の同信の人たち、親戚、知人など150人が集まって会食が続いたそうです。娘たち一家とともに私たちも招待されたのですが、長時間の祝宴に恐れをなして遠慮しました。
フランスはローマ教会の長女などといわれ、信仰心の篤いことで知られましたが、いまは日曜日に教会へ行く人は減っています。それでも社会生活上は宗教上の認知が欠かせないのも事実です。