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ムッシュKの日々の便り

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As time goes by (1)

 As time goes by(時の過ぎ行くままに)、いわずとしれた映画『カサブランカ』(マイケル・カーティス監督)の中で歌われる主題歌である。映画のプレミアムがニューヨークで開かれたのは1942年11月26日。この18日前、連合軍は北アフリカのアルジェリアに上陸した。『カサブランカ』はアメリカ映画ベスト100選の第2位選ばれた名作である。
 最近、このフレーズAs time goes byをタイトルにした小説があることを知って、取り寄せて読んだ。映画『カサブランカ』の主人公たちのその後の運命を描いた物語である。
 第二次大戦中、フランスがドイツに占領された直後の植民地モロッコの首都カサブランカ。ここはヴィシー政権の管理下にあって、占領軍ドイツの支配が直接及ばないことから、ナチスの手を逃れてポルトガルのリスボンを経由してアメリカへ行くことを夢見る亡命者たちのたまり場になっていた。この街にアメリカ人のリック・ブレイン(ハンフリー・ボガード)が経営する店「アメリカン・カフェ」がある。
 ドイツ軍将校のシュトラッサー少佐がドイツ軍発行の旅券を奪った犯人を追って到着する。それを手に入れた闇商人のウガルテは旅券をリックに預け、リックはそれを店のピアノの中に隠す。その直後に、ウガルテはフランス警察署長のルノー(クロード・レインズ)によって逮捕される。リックとルノーは奇妙な連帯感で結ばれた仲で、リックはどうやら過去にスペイン内戦に義勇兵として加わった経験があるらしい。
 ドイツに占領されたチェコ出身で、反ナチス運動を指導するヴィクトール・ラズロ(ポール・ヘンリード)が妻のイルザ・ラント(イングリット・バーグマン)を伴って店に姿を現す。ナチスの収容所を脱出したラズロは、今後の地下運動についてイギリスと協議するためにロンドンへ向おうとしており、どうしても旅券が必要だったのである。
 イルザはピアノを弾いているのが占領前のパリで知っていたサムと分かると、思い出の曲 As time goes by を弾いてくれと頼む。この曲の演奏はリックから禁じられていたのだが、サムは彼女のたっての頼みにそれを弾く。 
 曲を聞きつけて店の奥から出てきたリックは、イルザがいるのを見て驚く。二人はパリで熱烈に愛し合った仲だったのだ。ドイツ軍がパリへ侵攻する前日、彼らはパリを離れる約束をしたのだがイルザは約束の時間に駅に現れず、リックの前から姿を消したのだった。
 ラズロがカサブランカの抵抗組織の集会に出ている間に、イルザは夜一人で店を訪ねてくる。パリでリックと恋に落ちたのは、夫がドイツ軍に逮捕され殺されたと信じたからであり、約束を破って姿を消したのは、ラズロが無事で、しかも病気で彼女の看護を求めていると知らされたためだったと事情を打ち明けた。そしていまでもリックを愛している。ラズロが抵抗運動に挺身できるように彼を逃がして、自分はここに残ると訴える。リックのわだかまりは解け、二人の愛はよみがえった。
 翌日、リックはルノー署長を訪れ、ラズロに旅券を渡すからそのときに彼を逮捕しろ、自分はイルザと逃げると語って、手はずを整えさせた。そして夜、ラズロとイルザが現れる。折から店にいたドイツ人将校たちが、「ラインの守り」を歌いだすと、ラズロはすかさず立って「ラ・マルセイエーズ」を歌いだす。やがて店中の客たちがそれに唱和する感動的なシーンが出現する。
 店を閉めたあとルノーがラズロを逮捕しようとすると、リックは突然ルノーに拳銃をつきつけ、ラズロとイルザの飛行機を手配するために、飛行場へ電話をかけるように強要した。ルノーは飛行場とみせかけてシュトラッサーに電話をつなぎ、ひそかにラズロとイルザが出発しようとしていることを告げる。
 飛行場に赴いたリックはラズロに、イルザが前夜訪ねてきて私を愛していると告げたが、それは旅券を手に入れたいための口実にすぎない、と言って旅券を彼に渡し、呆然としているイルザには、抵抗運動を続ける彼には君が必要だと言い、二人を飛行機に乗せる。
 飛行機が滑走をはじめたとき、車で駆けつけてきたシュトラッサーが管制塔に連絡しようとしたため、リックは彼を撃つ。すべてを見ていた署長ルノーは、「君はセンチメンタリストだが、いまや愛国者になった」といい、駆けつけてきたフランス警察の部下たちに犯人を捜すように命じる。
 霧の中に消えて行く飛行機を見上げながら、ルノーは、「いまが潮時だ、しばらくカサブランカを離れていた方がいい、レジスタンスの仲間を紹介するよ」という。ルノーはじつは対独レジスタンスのシンパだったのだ。リックは、「これが私たちの友情の始まりだ」と応じる。そして彼らもまた濃い霧のなかへ消えて行く・・・。
 はたしてこの後の二人はどうなったのか。ロンドンをめざしたラズロとイルザのその後は。リックは二度とイルザと再会できないのか。そもそもリックはなぜ祖国アメリカへ帰ろうとしないのか。なにか事情があるのか。
 映画を見終わったあとに観客が抱くこうした想いに応えようとしたのが、マイケル・ウォルシュ(Michael Walsh)の小説、“As time goes by”(Warner Books,1998)である。紹介は次回に。
by monsieurk | 2011-10-01 08:34 |
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フランスのこと、本のこと、etc. 思い付くままに。


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