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ムッシュKの日々の便り

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2017年 06月 26日 ( 1 )

男と女――第九部(18)

 七月二十九日には河野が借りている家で句会が開かれた。三千代は一等賞を獲得して、龍渓の硯一つをもらった。彼女が詠んだ句は次のようなものである。

  祭
夏草に獅子の腹這ふ村祭     三点
隣の子笛吹きにゆく夏祭      二点
遠太鼓               二点

  茄子
初茄子のつや新しき朝の土      一点
しぎ焼きの茄子ほっかりと夕餉かな 一点
茄子紺の茄子に止まれりきりぎりす 一点

  夏の雲
敵機一つたちまち夏の雲の中    一点
夏草の野は静かにて雲の峯     三点
湖べりを木の間木の間の夏の雲   二点

湖と赤い別荘夏の雲        乾

 八月になった。山中湖畔でもようやく夏らしい暑さが感じられるようになった。三千代の日記。
 「八月三日
 起きて六畳の部屋掃除。光晴と乾の洋服類を出して縁先の綱に虫干しする。食事。四個の防空頭巾をほどいて洗濯。
 畑を見まはる。風呂の水汲を手伝ひ、漬物桶の蓋をつくる。木片を集めてのこでひき、八角形の蓋をつくり上げた。少々読書。
 そば畑の木を切りにゆく。稍々完成。
 四時頃の日暮時前をめがけてかぼちゃに追肥する。食事。
 先日つくったこたつ蒲団の裏布(火のあたるところ)をつけ、白シーツのボロボロを繕って、二つを一つにして役立てる。
 夜中三時就寝。」
by monsieurk | 2017-06-26 22:30 | 芸術
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フランスのこと、本のこと、etc. 思い付くままに。


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